サッカーが好きな人なら誰でも知っている、今一番アツい選手の久保建英(くぼたけふさ)。
2001年生まれの現在18歳で、レアル・マドリードCF所属かつ日本代表2019招集選手です。弱冠10歳にしてFCバルセロナの下部組織に入ったり、15歳のときにJリーグ史上最年少出場記録を塗り替えたりと、とにかく話題に事欠かきません。
そんな久保選手、実はサッカー以外のところでも注目を浴びています。
それは、彼の圧倒的な語学力。
百聞は一見に如かずなので、まずはこちらを観てみてください。
15歳のときの映像ですが、ちょっとびっくりするくらいペラペラですよね。スペイン語を自在に操り、現地インタビュアーの質問にも流暢に答えています。
さらに、下記はスペイン語と英語の両方を話す久保選手の動画を載せたツイート。トライリンガル(トリリンガル)としての能力を遺憾なく発揮しています。
📼✨😀 ¿Cuál es el secreto de los trucos de Kubo?
— Real Madrid C.F.⚽ (@realmadrid) July 15, 2019
¡Te lo cuenta él mismo junto a @hazardeden10!#RealMadridIsHere #RMTour pic.twitter.com/WrE9pwdPAE
ここで筆者は、疑問に思ったわけです。
どうしたらこんなに若くして外国語ペラペラになれるのか? と。
きっと、普通の学校では教えないような手段を使っているに違いないと。
そうして調べてみたら、スペイン語がペラペラになった理由について答えている情報がありました。「矢島輝一の聞いちゃお」という企画で、スペイン語を習得した経緯について答えている動画です。
🔵矢島輝一の聞いちゃお👂🔴#矢島輝一#久保建英 #ヨシッタ先輩#今シーズンの豊富#しっかり◯◯#矢島輝一の聞いちゃお#沖縄国頭キャンプ#fctokyo #tokyo pic.twitter.com/ZG1KnrhpKH
— FC東京【公式】🔜8/10(H)ベガルタ仙台戦 (@fctokyoofficial) January 24, 2019
司会の矢島輝一選手からの「スペイン語難しくない?」という質問に、久保選手は以下のように答えました。
「俺はもう、大学とかではなく、スペイン語をスペイン語だけで覚えたので」
「みんなが喋っていることを覚えていった」
スペインに行った直後はテストで0点を取るようなスペイン語能力だった彼が、今やペラペラになった秘密。
それは上記の通り、 現地に行ってスペイン語をスペイン語だけで覚えた ことでしょう。
つまり、英語で言うところの「現在完了形はこうだから・・・」というような勉強チックなやり方ではなく、現地で生のスペイン語をそのまま吸収していったと。
まるで赤ん坊が親の会話から母国語を覚えていくように、久保選手はスペイン語が使われる環境を生きることでスペイン語を吸収していったのです。
わたしたちは赤ん坊として生まれたとき、何も言葉を知りません。当然、言語の構造なんて分かるはずもありません。それでも気が付けば日本語を操っています。その言語吸収能力を持って生まれてくるからです。
その力を存分に生かし、久保選手はスペイン語を流暢に話せるようになったのです。
この言語の習得方法、以下の2つのポイントで理にかなっています。
1)言語のシャワーを浴びることで、圧倒的なインプットを得られる
2)自分もその言語でアウトプットをしなければいけない環境に置かれる
何事も習得するためにはインプットとアウトプットが肝要。久保選手の場合、外に一歩出れば街中の人がスペイン語を話していて、自分の周りの選手も外国人ばかり。会話するにはスペイン語を使うしかありません。
例えば1年や2年ほど海外留学をしていた人、特に現地の学校に通っていた人は、ある程度その言語を話せるようになって帰ってきますよね。
逆に、「語学学校に数ヶ月通っただけで、しかも日本人同士で仲良くなってしまった」という人は、あまり変わらないまま返ってくることが多い。
これはまさに、 インプットとアウトプットを大量に得られる環境に身を投じたかどうか で生まれた違いでしょう。
もちろん、久保選手はスペインに渡った当時とても若かったから吸収できたという意見もあると思います。SLA(Second Language Acquisition:第二言語習得)の世界ではよく知られた「臨界期仮説」というものがあります。
子どもの時に第二言語を学習し始めた学習者と,成人になってから第二言語を学習し始めた学習者の到達度について,最もよく耳にする意見は次のようなものである.すなわち,子どもの第二言語学習者は,母語話者と同程度の言語能力を身につけることができるが,成人第二言語学習者はそれができない
引用元:言語習得の臨界期について
これは実感として正しさを感じている人が多い仮説です。確かに、幼少期を海外で過ごした人はきれいな現地語を喋ります。
ただ、臨界期仮説はあくまでも仮説であり、研究はいくつかあるものの「正しい」と照明されてはいません。実際に年齢を重ねてから外国語を使えるようになる人はたくさんいますし、ネイティブレベルでないというだけで、問題なく外国語でコミュニケーションを取れる人は周りにも数多いでしょう。
日本において英語を勉強している人も、 英語を「聞かざるを得ない」「使わざるを得ない」環境さえ手に入れられれば、一気に能力が伸びる可能性が高い のではないでしょうか。
まだ18歳という若さで大活躍を見せる久保選手がスペイン語を習得した経緯を知ると、そのように感じてなりません。
さて、ここでもう一つ気になるのは、久保家の家庭や親の職業、教育方針ではないでしょうか。若くして成功を収めている久保選手を輩出した家庭では、いったいどういう教育を行っていたのか。
久保選手の父親は 久保健史(たけふみ)さん という方で、昭和46年生まれのサッカー経験者です。筑波大学体育専門学群を卒業しています。職業ですが、現在はミサワホームで勤務されているとのこと。
サッカーキッズの成功例でもある久保選手を育て上げたやり方について、『おれ、バルサに入る!』という書籍で説明しています。
<久保家の教育の一例>
・裸足で外遊びをさせることで、足裏の感覚や健康を養う
・小さいうちはテレビから距離を置かせる
・本の読み聞かせで想像力と集中力をつけさせる
・公園で大人と会話することで、考えて話す習慣をつけさせる
そもそも父親の健史さんはプロのサッカー指導者というわけではなく、大学時代に地域の少年サッカーの指導をしていた程度だそうです。
だからなのか、テクニック一辺倒の「サッカーの英才教育」というよりも、 サッカーと自立をしっかり両立することを考えた教育 になっているように感じます(もちろんテクニックも教えていますが)。あれだけの選手が育つのも納得。
母親については詳細がわかりませんが、子どもを連れてスペインへ行くだけの胆力のある方なのは間違いありません。
普通は、子どもを英語ペラペラにさせるだけでも難しいはずです。それなのに久保選手はスペイン語と英語を操り、もちろんサッカーは誰もが認める能力。
本人の才能もさることながら、親御さんの力もあってここまでの成功を収めているのですね。
最後に、改めて久保建英選手について紹介しておきます。
<久保選手概要>
名前:久保建英
生年月日:2001年6月4日
ポジション:MF
所属:レアル・マドリードCF
サッカーが天才的に上手で、3ヶ国語を使いこなす彼は、国内外で縦横無尽に活躍することでしょう!