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線虫でがん検査!尿一滴でがんの早期発見が可能に

日本人の死亡原因で男女ともに1位となっているのが「がん」であることは広く知られていますが、その比率は男性で31.9%、女性で23.5%(厚生労働省:死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)より)と2位の心疾患以下に対して圧倒的な数値になっています。

しかし不治の病と呼ばれた一昔前に比べれば早期発見、早期治療により、治る病気として認知されてきました。

しかしまだまだ、がん検診には検査精度や過剰診断など、多くの課題が残されています。それが上記の圧倒的な死亡原因比率にあらわれています。

とにかく「がん」は早期発見が重要であり、また費用や検査時間を考慮して検診を受けない方が多いのも今の実態では無いでしょうか。

そんな状況を根底からひっくり返すような世界初の画期的な方法が、線虫を使って尿一滴から「がん」を発見する生物診断システムです。

昨年に放送された「ガイヤの夜明け」や「羽鳥慎一のモーニングショー」、「yahooニュース」で取り上げられ大きな反響を読んでいます。

 

尿一滴でがん検診、ツイッターでの反応は?

 

 

 などなど、称賛の嵐ですが、実は2015年3月13日にも羽鳥慎一モーニングショーで紹介されていたのですが、その時のツイッターの反応はこの1件と寂しいものがありました。。

 

 

10年後の実用化を目指すとこのときは報道されていましたが、実際はあれから5年で実用化されることになったのは驚きですね。

では実際尿一滴でどの様ながん検診が行われるのか改てご紹介します。

 

 線虫を使って尿一滴でがん検診、その内容は?

虫と言われてもあまりピンと来ませんが、我々がよく聞く寄生虫やぎょう虫もその仲間で地球上で実に50万種類も生息しているそうです。

画像で見るとちょっとキモいですが。。。1mm位の個体だそうです。

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 画像:wikiより

この線虫君(シー・エレガンス)が尿1滴から「がん」の臭いを嗅ぎ分けて選別してくれるそうです。

その嗅覚は人間の100万倍と言われる犬と同等で、なんと1200種の臭いを認識する嗅覚受容体、虫で言う所の触覚のようなものを持っているそうです!

しかもその判定率が90%以上で尿1滴で、判定までの時間も1時間ほど、検査料金も1万円程、さらに今までの検診では10%ほどだったステージ0~1の早期がんに対しても90%もの確率で嗅ぎ分けてしまうそうです。

それが線虫を用いた今回のがんの早期診断法「N-NOSE」です。
こちらはANNのニュースで取り上げられた時の動画です。

 
ちなみにピコ太郎こと古坂大魔王が早くも検診を体験した事をツイッターにアップしていたのにはビックリ!! 

 

 尿一滴で発見できるがんは今の所15種類のがん

 来年にも実用化されるこのがん検診ですが、今の所、線虫君が発見できるがんは以下の15種類のがんだそうです。

 

胃、大腸、肺、乳、膵臓、肝臓、前立腺、子宮、食道、胆嚢、胆管、腎、膀胱、卵巣、口腔・咽頭

 

現在のがん検査はCTやエコー、MRIに内視鏡検査などを使って検診を行っていますが、全身のがん網羅性や簡便、精度、早期発見に弱く痛みなどが伴うのがこれまでの検診でした。

しかし今回の線虫を使ったN-NOSEでは、これら全てを解決する画期的な事前検診1次スクリーニングとして非常に期待されています。

 

線虫のがん検診を開発したのは?

2015年3月12日に九州大学が発表しHIROTSUバイオサイエンスと共同で来年の実用化にこぎつけました。その研究を行っていたのが九州大学大学院理学研究院助教の広津崇亮氏です。

今ではこのHIROTSUバイオサイエンスの代表取締役となっている方です。

【広津崇亮のプロフィール】

名前 広津崇亮(ひろつ たかあき)
生年月日 1972年4月25日
出身 山口県
高校 私立東大寺学園卒業
大学 東京大学理学部生物学科

 

 こちらの左側の方が広津氏です。

 

 【広津崇亮氏の経歴】

1997年 サントリー株式会社入社
2001年 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了(理学博士)
2001年 日本学術振興会東京大学遺伝子実験施設 特別研究員
2004年 京都大学大学院生命科学研究科 ポスドク研究員
2005年 九州大学大学院理学研究院生物科学部門 助教
2016年 株式会社HIROTSUバイオサイエンスを設立、代表取締役就任
2018年 Adjunct associate professor, QUT(Australia)

 

大学院博士課程では線虫の嗅覚についての論文がネイチャーに掲載されるなど
東大理学部から一貫して生物学に関する研究に没頭してきた広津氏。

九大助教のころから様々な線虫に関する研究成果を発表しています。一部取り上げてみると

  線虫におけるRasの活性化をモデルとしたタンパク質の活性の立体ライブイメージング
線虫による早期がん検査法の研究
線虫C. elegansの嗅覚機構を模倣した乳癌検知システムの研究開発
線虫を用いた「がんの匂い」の同定

 
そのルーツは九州大学消化器外科の園田英人氏による「癌探知犬」の研究にあるとされます。

その後、線虫のアニサキスと胃がん発見に巡りつき、東大で線虫の研究に没頭していた広津氏と線虫とがんの研究がスタートしたそうです。

 

HIROTSUバイオサイエンスとは

広津崇亮氏が起業し線虫および線虫嗅覚センサーを利用したがん検査の研究・開発・販売を行うのが株式会社HIROTSUバイオサイエンスです。

【HIROTSUバイオサイエンスの会社概要】

住所 東京都港区南青山二丁目24番11号
設立日 2016年8月
資本金 1,672,092,000円
従業員数 43名

 

 【会社略歴】

2016年8月 株式会社HIROTSUバイオサイエンス設立
2016年11月 東京都港区内で本社移転
2017年5月 東京都港区内で本社移転
2017年7月 千葉県柏市に中央研究所設立
2017年7月 福岡県福岡市に福岡研究所設立
2017年7月 オーストラリアに子会社を設立
2017年10月 愛媛県松山市に四国解析研究所設立

 

 【HIROTSUバイオサイエンスのプレスリリース】

2017年03月15日 線虫を用いた高感度がん検査『N-NOSE』(エヌノーズ)に関する共同臨床研究開始のご報告
2017年10月26日 信用金庫業界ファンドがHIROTSUバイオに投資
2018年02月02日 線虫がん検査『N-NOSE』の世界展開研究プロジェクトがスタート
2018年02月05日 健康・医療・社会保障の「法研」と線虫がん検査の「HIROTSUバイオサイエンス」が全国展開に向け業務提携
2018年07月04日 HIROTSUバイオサイエンスと日立が、共同実験室を開設

 

 そして2018年8月 第三者割当増資を実施、14億円を調達。
その割当先は錚々たる起業が連ねています。

・エイベックス株式会社
・トッパン・フォームズ株式会社
・アズワン株式会社
・株式会社ニッポン放送
・株式会社イチネンホールディングス
・みらかホールディングス株式会社
・いよベンチャーファンド5号投資事業有限責任組合
・投資事業有限責任組合えひめベンチャーファンド2013
・フューチャーベンチャーキャピタル株式会社

解析のトッパンや販促のイチネンホールディングス、そして活動紹介としてエイベックスにニッポン放送との資本業務提携が完了しいよいよ2020年の本格的な検診実施が準備万端整ったことになりますね。

ちなみに2019年10月2日にN-NOSEの実用化に向けトライアルとして福岡県久留米市及び小郡市が自治体として初めて参加すると発表しましたが翌日の10月3日上記のフューチャーベンチャーキャピタルやイチネンホールディングスの株価が急上昇を見せていることから市場のN-NOSEへの相当な期待が寄せられているのが見て取れますね。

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線虫のがん検診はどこで検査ができる?

現在はまだ一般の方の受付はしてないそうですが、早ければ来年2020年の1月から提携企業の検診などから始まる予定だそうです。

また実用化に先立ち研究の資金援助などを行ってきた久留米市や小郡市などの職員を対象に今月2019年10月からトライアルが行なわれるそうです。

ただ増資割当先のエイベックス株式会社のホームページによると、


線虫を使ったがん検査サービス『N-NOSE』は2020年1月にも、検診センターなどを通して実用化される見通しだ。

との掲載がありましたので、早期に会社等の健康診断でも採用される日も近そうですね!