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千葉のゴルフ練習場、鉄柱倒壊の損害賠償・撤去費用は?誰が払う?

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2019年9月9日に関東地方に上陸した台風15号は、既に広く知られているように、各所で猛威を振るいました。

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そしてこの台風により、なんと千葉県市原市にあるゴルフ練習場の鉄柱が倒れ、近隣住宅の屋根などを壊してしまうという被害も発生しました。

この鉄柱倒壊については、被害発生から一週間が経っても復旧が進まない状況に、住民は不安を募らせています。

加えて、鉄柱の撤去ならびに被害住宅の修繕費用についても、解決には時間がかかりそうな様子。誰がいくら支払う必要があるのか、まとめてみました。

なぜ1週間経過しても復旧が進まないのか

鉄柱の撤去作業自体の長期化も懸念されるところですが、本件はそもそも現時点で撤去作業の着手もできていません。その間、雨が降った日には雨漏りしてしまったという住宅もあります。

なぜ、被害発生から一週間が経過しても撤去が開始されないのでしょうか。その理由はどうやら、作業を行う業者がまだ決まっていないからのようです。

万が一撤去作業中に家を傷つけてしまったら、さらなる補償の話が発生してもおかしくない状況。そのため、オーナー側にも鉄柱を撤去する意思はあるものの、なかなか業者と話がまとまらないそうなのです。

早急に撤去作業は進めたいけれど、急ぐあまりに住宅を傷つけてしまってはいけない、というところで慎重になっているのかもしれませんね。

住民としては、雨が降れば雨漏りもするような状況なので、急いで撤去してほしいところでしょうが……。

業者決定後も補償面での同意が得られずに難航

被害発生の約2週間後、江戸川区の解体業者「フジムラ」が無償で鉄柱の撤去を行うと申し出ました。

これには喜ぶ住民もいた一方で、一部住民は二次被害に関する補償がないとして同意書を提出しなかったようです。

同意書を提出しなかった住民の男性(65)によると、障壁のひとつになったのは、同社が示した「工事でさらに損害が出た場合、フジムラに賠償を求めない」という条件だという。男性は「それはまったく別の問題。ゴルフ場のオーナーが話し合いの場に出てこないまま決まるのは納得できない」と憤る。

引用元:産経ニュース

こうした経緯もあって、約1ヶ月が経過しても撤去作業は進んでいませんでした。

行政の対応は?

被害が発生した千葉県市原市の市役所もこの被害を把握していて、鉄柱の撤去対応ができそうな業者一覧を9月13日(金)にゴルフ練習場側に渡しているそうです。

また、作業日程がいつになるのかをゴルフ練習場側に問い合わせているものの、現時点では具体的な日程等は確認できていないそうです。

市としても進捗が気になっている様子ですね。

なお、9月19日放送の「ひるおび!」に出演していた国際ジャーナリストの高橋浩祐氏が指摘したところによると、2014年に千葉県で同様のケースが起こった際には千葉県の建築指導課が鉄柱・鉄骨の老朽化がないかどうか等を指導していたそうなので、指導を行った県の責任も今後問われることになるかもしれません。

鉄柱1本の撤去費用、トータル撤去費用はいくら?

住宅に向かって何本も倒れてきた今回の鉄柱ですが、地元の解体業者が日本テレビ「スッキリ」の取材に答えたところによると、1本およそ300万円ほどの撤去費用がかかると推定されるそうです。

これは家1軒を片付けるのと同じくらいの費用だということなので、簡単に撤去できる代物ではないことが伺えますね。

倒れた鉄柱が1本や2本ではないことを考えると、鉄柱の撤去を行うだけでもトータルで数千万円の費用がかかってくる予測となっています。15本なら単純計算で4,500万円ですね。

鉄柱の撤去費用についてはゴルフ練習場側が負担することになります。この点についてはゴルフ練習場のオーナーも異論はないようです。結局この費用は無料で撤去するという「フジムラ」が出てきたことで浮いた形になりますが……。

被害に遭った家の解体・建て替え費用は?

鉄柱の撤去費用はおよそ300万円。では被害にあった家の修繕費用はどうなるのでしょうか。

こちらについても、地元の解体業者が同番組の取材に対して以下のように回答しています。

・建物は全損になるのではないかと思う
・1軒解体するのにやはり300~350万円くらいかかる

300~350万円というのはあくまでも解体費用の目安なので、解体後に新しく家屋を建てれば、当然さらに費用はかさみますね。

建て直し費用の負担先は過失の有無次第

住宅の解体等の費用については、ゴルフ練習場側が負担するとは限りません。ゴルフ練習場側の弁護士からは、「天災なので費用は出ない」との説明が住民にあったそうです。

しかし、仮にゴルフ練習場側の鉄柱の点検・管理などに不備があった場合は話が違ってきます。まとめると以下の通り。

ゴルフ練習場側の過失 住宅の建て直し費用負担
あり ゴルフ練習場
なし 住民

鉄柱をしっかりと点検・管理していて、その他の過失もなかったにも関わらず倒れてしまったのであれば、それは今回の台風が想定を超える強力なものだったということで、まさに天災としか言いようがないということですね。

住民にとってはつらい話になりますが……。

一般的な火災保険でカバーできるのか

ではゴルフ練習場側に過失がなく、住宅の建て直し費用が住民側負担となった場合に、一般的な火災保険でこの費用はカバーできるのでしょうか。

一般的な火災保険では、台風などを想定した「風災補償」というものが含まれている場合が多く、今回のような台風による被害にはその風災補償を適用できるケースが多いです。

補償される事故の種類は商品によって異なりますが、住宅を対象とする一般的な火災保険では、台風で瓦が飛んでしまった場合などの「風災による損害」は補償対象となります。

引用元:台風・竜巻等による損害 | 【公式】損保ジャパン日本興亜

 

例えば損保ジャパン日本興亜の個人用火災総合保険である「THE すまいの保険]「THE 家財の保険」では、台風等で飛んできた物体によって住宅の壁が破損したような場合にも補償対象となります。

ただし、保険商品はどこもそうですが、20万円以上の損害額でないと補償されないなど、細かい条件がある場合もあるので、それぞれの保険内容を詳しく見ないと補償可否の判定は難しいです。

上記の他にも、家屋は補償するけれど家財は補償しないというケースや、建物が保険の対象に含まれていないケースなどが考えられます。

契約している保険の内容によって、補償される場合とされない場合があるということですね。

鉄柱の点検や強度、ネットの管理に問題はなかったか

本件に関しては、ゴルフ練習場の鉄柱の点検や管理状況、強度などに問題がなかったのかについても注目が集まっています。費用負担にも関わるため、関心が高いところですね。

SNS上では、基礎が小さいのではないかという声も上がっています。

このあたりに関して、スッキリのレポーターである阿部祐二氏が番組内で述べたところによると、数年前に千葉県の鎌ヶ谷市で同様の件が発生した際にゴルフ場の鉄柱は全国的に調査されたが、今回のゴルフ練習場の鉄柱に問題はなかったそうです。

しかしながら、本ゴルフ練習場は9月10日の国土交通省や市の調査によって、基礎部分のボルトに破断が確認されています。

同省と市は10日に現地調査を行った。鉄柱とコンクリートの基礎部分を固定するボルトが複数箇所破断していることなどを確認した。市は運営会社に対し、2週間程度での報告を求めた。

引用元: 読売新聞オンライン

また、台風が迫っている状況で鉄柱のネットが下ろされて(外されて)いなかった点も問題ではないかと指摘されています。

確かに鉄柱倒壊時の写真を見ると、ネットが張られたままですから、このように思う人も少なくないのですね。

なお、ゴルフ練習場のネットというのは、風速計と連動させることで強風時に自動で下げることが可能なものもあります。

(※ゴルファンのネットは風速計と連動しており、風速計が18M/Sを感知すると

安全のため自動的に約15mネットが降下する仕組みになっています)

引用元:ザ・ゴルファン スタッフブログ

上記のようなネットも存在し、かつ、ゴルフ練習場で強風によって鉄柱が倒れるケースは初めてでないことを考えると、何かしらの対策を行っていなかった点でオーナー側が追及される可能性もありそうです。

そのため今後の調査結果次第では、運営会社側の過失と認められる可能性もあるかもしれません。

約1ヶ月経過後、鉄柱の重みで新たな問題も発生している

台風15号から約1ヶ月が経過し、新たな問題として「鉄柱の重みによる食い込み」が発生しています。

1本10トンくらいある鉄柱がそのままになっていることにより、住宅の木材がどんどん歪んできてしまっているそうです。

10トンの物体がずっとのしかかっているわけですから、歪んでくるのも当然ですよね。新たな台風を目前に、住宅の状態は万全からは程遠い様子です。

沈み込む鉄柱を食い止めるために、鉄柱の下に資材を置いて補強しているところもあるくらいなので、早急な撤去が待たれますね。

住民説明会が行われるも、鉄柱倒壊被害の補償に関しては平行線

2019年10月10日、ゴルフ練習場オーナーと弁護士、そして正式に撤去作業を請け負うことになった解体業者「フジムラ」が住民に対して説明会を行いました。

そこでは解体作業の流れなどが説明されましたが、最強クラスと言われる台風19号が近づいていることもあり、住民には不安が広がっている様子。オーナーに対して「ふざけんじゃねーよこの野郎」などの怒号が飛ぶほどの荒れ具合となりました。

台風19号の恐ろしさは、下記ツイートを見ると想像できます。これは不安になるのも当然でしょう。

説明会の様子をざっくりまとめると下記のような感じです。

・解体業者が賠償責任保険に加入することが決定
・撤去作業の流れも説明されたが、住民が一番気にしていたのは補償問題

当日は住民に「ゴルフ練習場鉄塔横転災害撤去工事に関して加入する保険について」という資料が配られました。

この資料は解体業者が「賠償責任保険」にスポット契約で加入することを説明したもので、撤去作業中に家屋を壊してしまったり、第三者にケガを負わせてしまったりした場合に賠償するための保険に加入した旨が記されています(保険料はゴルフ練習場持ち)。撤去作業による二次被害を懸念していた住民を考えた対応なのでしょう。

ただ、住民としてはそもそもの鉄柱の倒壊による損壊の補償をしてほしいという気持ちが一番強いので、この内容だけでは完全な納得には至っていないようですね。

10月11日放送の「スッキリ」では、説明会を終えた住民が「ちょっと納得いかない」と答えているところが放送されました。同番組によると、およそ半数の住民は未だに説明された内容に納得がいっていない様子とのこと。

それでも、28日には同意の得られた場所から撤去作業が開始されるそうです。

同社は15日ごろから現場で撤去の準備を始め、同意を得られた世帯については28日にも工事を行う。

引用元:Yahoo!ニュース

被害が発生してから一ヶ月が既に経過していますが、ようやく前進したといった感じですね。 

まとめ

想像よりはるかに大きな爪痕を残した台風15号。千葉県では停電のみならず、このような被害も生んでいます。

一刻も早く鉄柱の撤去ならびに家屋の再生が進むことを祈るばかりですね。