高齢者ドライバーによる痛ましい事故が、
連日ニュースで流れていますね。
高齢者ドライバーによる事故は年々増加しており、対策として、
日本では1998年より、70歳~74歳の運転免許保持者は「高齢者講習」、
75歳以上の免許保持者は「高齢者講習」 +「認知機能検査」が義務付けになりました。
- 高齢者講習とは?
- 75歳以上の方は認知機能検査も必須
- 高齢者講習と認知機能検査にかかる金額と詳細
- 80歳以上の4人に1人が運転する日本で、高齢者ドライバーが免許返納を希望しない理由。
- 日本での高齢者ドライバーへの対策
- 高齢者の免許有効期間、日本と海外比較
- まとめ
高齢者講習とは?
「高齢者講習」とは、記憶力や判断力、運動能力や技能水準などを自覚してもらう目的で実施している講習のこと。更新期間満了時の年齢が、70歳以上の運転免許保持者に対して、1998年から免許更新前に義務化されました。
高齢者講習対象の方
運転免許証の更新期間満了日(誕生日の1か月後の日)の年齢が70歳から74歳までの方
75歳以上の方は認知機能検査も必須
75歳以上の方は、「認知機能検査」を受講後、認知症の疑いがあれば、
医師の診断書提出を求められ、そこで認知症と診断された場合、
免許取り消しか停止処分となります。
認知機能検査対象の方
運転免許証の更新期間満了日(誕生日の1か月後の日)の年齢が75歳以上の方
認知機能検査を受けるタイミングは?
認知機能検査は、運転免許証の更新期間が満了する日の6ヶ月前から受けることができます。
認知機能検査の対象となる方には、運転免許証の更新期間が満了する日の
6ヶ月前までに認知機能検査と高齢者講習の通知が警察から届きます。
認知機能検査後の流れ
認知機能検査の内容は?
認知機能検査は大きく3つの項目に分けられます。
検査は開始から結果通知まで30分ほどで終わります。
- 時間の見当識
検査を受けているときの年月日時、曜日を回答する検査
- 手がかり再生
16種類のイラストを見た後、思い出して回答する検査
- 時計描画
時計盤と指定した時刻を回答する検査
高齢者講習と認知機能検査にかかる金額と詳細
80歳以上の4人に1人が運転する日本で、
高齢者ドライバーが免許返納を希望しない理由。
これからますます増えていくと予想される、高齢者ドライバー。
免許返納を推奨する国に対し、交通機関が少ない地域では、
免許を返納してしまうと、移動手段に困るため、
高齢者となっても返納を希望するドライバーが少ないのが現状です。
内閣府が60歳以上を対象に実施した調査で、
そのうち回答した80歳以上の4人に1人が車を運転しているとの結果により、高齢者が運転する車の事故が社会問題になるなか、当事者には車が日常的な交通手段になっている実情が改めて浮き彫りになった。
日本での高齢者ドライバーへの対策
では、高齢者ドライバーへの対策はどうなっているのでしょうか?
国の取り組み
- 高齢運転者に対する講習等の充実
- 他の世代の運転者に対する働きかけ(広報啓発)
- 道路交通環境の整備等
付加車線の整備・道路照明の増設・信号灯器のLED化・道路標識の大型化・高輝度化・自発光化・道路標示の高輝度化等を推進 - 事故危険箇所対策の推進
信号機の新設・改良、歩車分離式信号の運用・道路標識の高輝度化等・歩道等の整備・交差点改良,視距の改良・付加車線等の整備・中央帯の設置・バス路線等における停車帯の設置及び防護柵、区画線等の整備・道路照明・視線誘導標等の設置等の対策を推進 - 高齢運転者の特性を考慮した車両安全対策
市販車の安全性能を比較・評価し、結果を公表する自動車アセスメントを実施 - 道路交通法の改正
改正道路交通が、平成27年6月に公布され、29年3月12日に施行 - 運転免許証の自主返納制度の周知
運転免許証を返納した者への支援について、地方公共団体を始めとする関係機関・団体等に働き掛けるなど、自動車等の運転に不安を有する高齢者等が運転免許証を返納しやすい環境の整備 - 高速道路等における逆走対策等の取組
インターチェンジやジャンクション部等でラバーポールや大型矢印路面標示の設置といった物理的・視覚的対策等 - コミュニティバス・デマンドタクシーに関する取組等
デマンド交通の運行や、幹線バス、ノンステップバス・福祉タクシーの導入などに対する補助を実施しており、平成27年度には、全国で1,260市町村においてコミュニティバス、362市町村においてデマンドタクシーが導入 - 公共交通機関の確保に向けた取組
バス、タクシー等の公共輸送サービスが不十分である過疎地域・交通不便地域においては,自家用有償旅客運送制度を活用 - 地域運営組織による地域での取組
高齢者交流、声かけ・見守り、外出支援、配食支援、買い物支援 - 改正道路交通法の円滑な施行
医師会等関係団体と連携して、医師の診断体制の確保と診断書の正確性・信頼性の担保を図る - 社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備
平成29年3月より地域交通や高齢者の移動特性に対して知見を有する学識者、福祉輸送や運輸事業の関係団体の代表者等からなる「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」を開催 - 高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議の開催
警察庁では、平成29年1月16日、行政法、社会学,自動車工学,交通心理学等の学識者や医療・福祉等の関係団体の代表者等から成る「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」を開催 - 自動車メーカーへの「高齢運転者事故防止対策プログラム」策定要請
国内乗用車メーカー8社に対し「高齢運転者事故防止対策プログラム」の策定を要請 - 「安全運転サポート車」の普及啓発に関する関係省庁副大臣等会議の開催
安全運転サポート車(サポカーS)のコンセプトや当面の普及啓発策、先進安全技術の一層の普及促進のための環境整備等
【引用元】II 高齢者に係る交通事故防止に向けた取組|平成29年交通安全白書(概要) - 内閣府
東京都の対策
アクセルと防止効果が大きいとされる
ブレーキの踏み間違い装置を取り付けるための補助金や
自主返納の特典を増やすことなどを検討中。
他県の対策
- 石川県
石川県在住、満70歳以上のドライバーを対象に
サポカー(安全運転サポート車)購入に3万円の補助金支給
ー平成30年6月20日より開始(予算上限に達し次第終了) - 香川県
ASV(先進安全自動車)購入に3万円の補助金支給
高齢者の免許有効期間、日本と海外比較
日本
⇒71歳以上は3年
アメリカ(州ごとに異なる)
⇒【アイオワ州】70歳以上は2年 【イリノイ州】81歳以上は2年、 87歳以上は1年
【カリフォルニア州】5年【ニューヨーク州】初回5年、以降8年
イギリス
⇒70歳まで有効(原則更新なし)、70歳以上は3年、5年を上限とする短期間免許あり
スイス
⇒有効期間無し、ただし、70歳以上の者(70歳以降、2年ごとに検査)
診断内容により検査期間が短縮される場合あり
ドイツ
⇒15年
ニュージーランド
⇒75歳以上は5年、80歳以上は2年
まとめ
高齢者ドライバーによる事故は年々増加しています。
先日も、東京池袋で87歳の男性による、
親子2人(死亡)と8人(重軽傷)を巻き込んだ痛ましい事故が
ありましたね。
警視庁の任意の事情聴取に「つえを使って歩いていたが、座れば足がふらつくことはなく、運転に影響はなかった」とのことですが、この状態で本当に運転に支障はなかったのか・・。
高齢者講習の項目に、
杖なしでの二足歩行が可能かどうかも視野に入れるべきではないでしょうか。
事故を起こさないためにも、高齢者講習をしっかり受ける事と、
運転に不安を感じるようであれば、免許を返納しても生活できるように、
少しずつ準備をすすめておくことも必要かもしれません。
高齢ドライバーといえば・・あわせてこちらもお読みください。